2021年8月でアメリカ軍が撤退して、タリバンは、20年ぶりにまた政権を握ることになりました。
元々タリバンは1990年代後半、アフガニスタンを支配していました。
2001年にタリバンがアルカイダをかくまったということで、アメリカ軍がアフガニスタンに侵攻し、権力の座を追われましたが、復権しました。
タリバンとアルカイダ、そもそもどういう組織で、どういう関係なのかよくわからないとことがあります。
この記事では、タリバンとアルカイダの違いについて、わかりやすく説明します。
タリバンとアルカイダの違い
タリバンとアルカイダの違いを簡単に説明すると次のようになります。
・タリバンは、パキスタンとアフガニスタンで活動する土着民によるイスラム原理主義者による武
装集団で国際性はありません。
・アルカイダは、ソビエトがアフガニスタンに侵攻したことに対抗するために、アメリカのCIA
が、アラブ諸国から集めたイスラム義勇兵を軍事訓練した武装組織。最初からアラブ諸国全体に
国際的なネットワークを持っています。
あのビン・ラディンが、大金持ちのスポンサーとしてアルカイダに参入して資金を提供しました。
タリバンについて、もう少し詳しく説明します。
タリバンとは
アフガニスタンは、パシュトゥン人が人口約45%(約1600万人)を占めています。
元々、アフガン王国はパシュトゥン人の皇帝(シャア)が納めていました。
しかし、第二次世界大戦後の東西冷戦下に、アフガンにソ連指導で、共産党政権が樹立されます。
この急速な共産主義化に、「ムジャヒディン」と呼ばれるイスラム・ゲリラ組織が抵抗を始めます。このとき、ソ連と対立していたアメリカなどの西側諸国、さらに隣国パキスタンが支援します。
1979~89年は、アフガニスタンに侵攻したソ連とそれに抵抗したイスラムゲリラとの戦いが続きます。
映画「ランボー3 怒りのアフガン」というのがありましたが、ランボーがアフガニスタンに侵攻していたソ連軍と戦った話でしたね。
1989年2月にソ連軍がアフガニスタンから撤退します。
しかし、アフガニスタンはその後も内戦状態に突入します。
市街戦が繰り広げられ、略奪や暴行が横行し、治安は乱れに乱れます。
ソ連軍が撤退して、欧米諸国も関心を示さなくなります。
そうした状況のなかで1994年7月にアフガニスタンに秩序や平和をもたらそうとしてムッラー・ムハンマド・オマルを中心に「タリバン」が組織されます。
「タリバン」には、イスラム神学校で学んだパシュトゥン人のイスラム教スンニ派の学生達も参加しました。
「タリバン」とう言葉は、アフガニスタンの公用語のパシュトゥン人のパシュトゥー語で「学生たち」を意味します。
タリバンは1996年9月にアフガニスタンのほぼ全土を支配します。
対ソ戦争や内戦で疲れ切ったアフガニスタン人の間で、規律や秩序の確立を唱えるタリバンの訴えに惹かれるものがあったんでしょうね。
さらに、アフガン社会で伝統的に影響力があった長老たちもタリバンを支持したことで、タリバンへの支持が急速に広がったようです。
タリバンの旧政権時代(1996~2001年)は、厳格なイスラム法を国民に強要しました。
・男性にはあごひげを伸ばすように強要。
・女性には、学校で学ぶことも就職することも禁じます。
・音楽やテレビなどの娯楽も制限します。
さらに、偶像崇拝を禁じるイスラム教に反するとして神仏などの像を破壊しています。
あの仏教遺跡バーミヤンの大仏が爆破されたのを覚えていますか。
そんな国内での恐怖政治と、テロ組織との密接な関係で国際社会から孤立していきます。
しかしタリバンは、2001年の9.11同時多発テロを起こしたアルカイダをかくまったという理由でアメリカなどの攻撃を受けて政権が崩壊します。
ところが、今回2021年8月のアメリカ軍の撤退を機に、あっという間に再びアフガニスタンを支配することになりました。
今回は、「女性の権利や報道の自由を認める。」との穏健姿勢をアピールしていますが、どこまでタリバンの政治が変わるのかはまだわかりません。
<追記>
9月26日のBBCによると、タリバンはアフガニスタン各地で「男性のひげを剃ったり整えることを禁止」しました。
理由は、イスラム法の解釈に反するためということで、違反者は処罰されるそうです。
今回は、穏健政権をアピールしていましたが、以前の厳しい体勢に戻りそうな雰囲気です。
タリバンとアルカイダとの違いをわかりやすく説明!のまとめ
タリバンは、アフガニスタンの土着民によるイスラム原理主義者による武装集団で、1990年代後半にアフガニスタンを支配していました。
アルカイダは、アフガニスタンに侵攻したソ連軍に対抗するために、アメリカのCIAが、アラブ諸国のイスラム義勇兵を軍事訓練した武装組織です。
タリバンは、2001年の9.11同時多発テロを起こしたアルカイダをかくまったという理由でアメリカなどの攻撃を受けて政権が崩壊しましたが、2021年8月にアメリカ軍の撤退により復権しました。
タリバン政権により、これからアフガニスタンの国民の自由がどこまで認められ、安定した政権がつくれるのかが注目されるところです。
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